通俗水滸傅豪傑百八之一人
花和尚魯知深
(かおしょうろちしん)

 花和尚魯知深は「水滸傅」随一の評判男である。さしずめ岩見重太郎か、坂田の金時のような怪力無双の豪傑、手にした禅杖は、重さが十貫目(約37kg)、長さが1.5mという鉄の棍棒。全身に海棠(かいどう)の花の刺青を施し、いかにも無頼な僧伽の容貌である。
 棍棒で松を根もとから砕き、傍らの盗人どもを威嚇し、その盗人の分け前を撥(はね)る。この図は、今まさに松の大木を打ち砕き、倒そうとする魯智深の怪力のさまを描いている。筋肉隆隆たる巨漢、髭面の坊主頭、精悍な顔、よくその伝記中の風尚をとらえ、写している。北斎画の「新編水滸画伝」でも、その刺青は海棠の花で、後に、桜の花などを散した刺青に変った。当初は海棠の花模様が魯智深のトレードマークであった。